事務所ブログ

2018年2月23日 金曜日

中国法における遺言

前回、国際相続における遺言の考え方についてブログを記載しました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2018/02/post-75-1425480.html
今回は、中国に財産がある場合、遺言書をどう描くか、を具体的に見ていきたいと思います。

日本では、遺言の種類は、自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言があり、死亡が迫った危急時にこれらの要式性を緩和した危急時遺言があります。
これに対し、中国では、公証証書遺言、自筆証書遺言、代筆証書遺言、録音遺言、口頭遺言5種類が認められています(中国相続法17条各項)。
このうち、口頭遺言は実質的には日本の危急時遺言と同様の機能を有しているようです。また、日本とは異なり、録音遺言が認められていますが、利用例は少ないようです。

中国の公証証書遺言は、公証人2名の面前で、遺言者が作成日を自署し、署名を行います。日本と異なり、押印はありません
後日、公証証書遺言が発行されます。
日本では公正証書で遺言書を作成しますが、中国の公証証書遺言では、遺言書自体は自筆証書遺言でもよいし、代筆証書遺言でもよいということです。
また、中国では日本と異なり、証人は不要です。公証証書遺言は、公証証書遺言でしか取消し、変更ができません(中国相続法20条3項)。

中国の自筆証書遺言は、全文を自署し、署名の上、日付も記載します。日本と異なり、中国相続法には遺言書の訂正の規定はありません。訂正の必要があれば、書き直しがよいでしょう。

最近、中国に財産がある方から遺言の相談がありました。
中国にある不動産を相続させるについては、中国相続法に従った遺言を残しておくことが必要です。
中国本土に行って手続ができるのであれば公証証書遺言を利用し、そのような余裕が無ければ、自筆証書遺言を作成することになるでしょう。

最後に、中国相続法には日本の遺留分の制度はありません
しかし、中国相続法では養老育幼という独特の扶養義務の観念が重視されており、労働能力が乏しい相続人及び生活収入の無い相続人に対して、必要な分の遺産を留保しなければなりません(中国相続法19条)。

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2018年2月16日 金曜日

国際相続における遺言

これまで、遺言書についてはこのブログで多くの記事を掲載してきました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/igon/
本日のブログでは、国際相続と遺言の関係について、整理します。
国外にも資産がある方について、遺言はどのように準備しておくべきかという点について考えていきたいと思います。

まず、最初の問題として、特に国際相続の場合、どの国の法律で遺言の有効性を判断するのか遺言の方式の準拠法という問題があります。
遺言の方式の準拠法に関しては、その名のとおり「遺言の方式の準拠法に関する法律」というのがあります。
日本では、遺言とくに自筆証書遺言については自署であることなど厳格な要式が求められます。
しかし、遺言の方式の準拠法に関する法律は、遺言者の意思を尊重するため次のいずれかの法律に従った場合は遺言の方式としての有効性を認めています(遺言の方式の準拠法に関する法律第2条)。
行為地法
・遺言者が遺言の成立または死亡の当時国籍を有した国の法
・遺言者が遺言の成立または死亡の当時住所を有した国の法
・遺言者が遺言の成立または死亡の当時常居所を有した国の法
・不動産に関する遺言について、その不動産の所在地

これによれば、上記の関係のある国の遺言の法律に従って作成すればその国の法律に従った有効性が認められることになります。
例えば、日本在住のスペイン国籍の方が18歳で遺言書を作成した場合、スペイン本国法では未成年者の遺言は無効とされますが、日本の民法ではその遺言は有効になります。
また、日本在住のドイツ人夫婦が共同で1通の遺言を作成した場合、日本の民法では共同遺言は無効になりますが、ドイツ本国法では夫婦の共同遺言は有効になります。

ただ、有効であれば良かったという単純な話ではありません
実際には、諸外国は日本とは検認制度や遺言の実現の仕方や、裁判所や公共機関において取扱いが異なります。
日本で作成した有効な遺言書を、例えば米国のある州の裁判所に持って行ったとしてもその内容が実現出来ない可能性があります。

従って、実務的な対応としては、日本の国内の財産は日本の遺言書で対応し国外の財産はその国で遺言を実現しやすいようにその国に応じた方式の遺言を書き分けるべきです。
ただし、いくつかの遺言書の間で矛盾が無いようつまり撤回・取り消したと言われることが無いよう注意が必要です。

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