事務所ブログ

2016年11月30日 水曜日

セミナーのお知らせ

今回はセミナーのお知らせです。

大田区社会福祉協議会主催の下記セミナーで講師を務めます。
相続分野に限らず、弁護士活用のイロハについてお話しする予定です
当職がセミナーでお話をしたあと、法律相談の時間もあるようです。
お近くでお時間の許す方はお越しいただければと思います。

日時:平成28年12月5日(月) 午後1時~3時
場所:大田区 本羽田プラムハイツ「こぶしの家」
テーマ:知って得する弁護士活用術
対象者:大田区在住者等
地図こちら

お問い合わせはこちらから
詳細につきましては、松井・森岡法律事務所まで(担当 松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126

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2016年11月17日 木曜日

11月15日はいい遺言の日

今回のブログは、11月15日に行われた遺言・相続一斉相談会のご報告と雑感です。
11月15日いい遺言の日ということで、全国の信用金庫と日弁連等の共催で遺言・相続全国一斉相談会が行われ、当職も相談担当弁護士として参加してきました。
当日のチラシはこちらです。
こちら
チラシを見ても分かるとおり、信金中金が主催のイベントで、日本全国の信用金庫で遺言と相続についての相談が行われました。
このような法律相談は、各地域の信用金庫のお客様に対して提供される地元密着のサービスとしても有用ですし、取り組みが広がれば良いなと感じました。

当日の相談について、詳細はお話しすることはできませんが、いずれも相続の生前対策のご相談でした。
最近は、相続が始まる前にどのような対策が出来るのか、についての相談が多くなっています。
よく質問される生前・事前の対策は、具体的には以下のようなものです。
●あとでモメないように被相続人の財産管理を安全確実に行うにはどうしたらよいか。
●被相続人が遺言を書ける状態か否かの判断をどうするか。
●被相続人の会社・事業を継承すべきか否かの判断に迷っている。
●相続開始時の相続税をいかに抑えるか(土地の小規模特例、生前贈与、相続税納税資金の確保など)。


当事務所でももちろん生前の対策についてもご相談に応じております。

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2016年10月19日 水曜日

経営承継円滑化法の手続と問題点

今回のブログは事業承継円滑化法の手続現行制度の問題点について記載します。

前回のブログでは、「事業承継と遺留分対策」と題してブログを記載しました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/08/post-56-1301665.html

前回、民法の原則からすると自社株が遺留分の対象となることへの対応策として、「除外合意」「固定合意」とこれとともに行う「付随合意」についてお話ししました。
これらの手続について、見てみます。
まず、後継者と遺留分権利者が予め遺留分算定にかかる合意をし、その合意について経済産業大臣確認家庭裁判所許可が必要になります。

最初の後継者と遺留分権利者の合意においては、除外合意とするか、または固定合意とするか、あるいはその組合せとするかなどの内容を定めることになります。
固定合意、すなわち遺留分算定の基礎財産に算入すべき金額をあらかじめ固定する合意を行う場合には、弁護士、公認会計士、税理士などによる相当な価額であることの証明書が必要になります(経営承継円滑化法第4条第1項第2号)。
また、合意書には実印で押印し、各当事者の印鑑証明が必要になります。
合意書の記載内容については、中小企業庁のホームページのマニュアルに記載のサンプルが参考になります
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2014/141217minpoumanual.pdf

次に、経済産業大臣の確認については、合意後1ヶ月以内に、申請書と添付書類を提出して審査を受けることになります。
経済産業大臣の確認が求められる趣旨は、経営承継円滑化法の要件を満たしていることを確認するためです(経営承継円滑化法第7条第1項各号)。
申請書等の書式は、中小企業庁のホームページにアップされています。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2014/141217Yoshiki.htm

経済産業大臣の確認を受けた後継者は、その確認後1ヶ月以内に家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
家庭裁判所の許可が求められる趣旨は、当事者のした合意が真意に基づいているかを確認するためです(経営承継円滑化法第8条第2項)。
これらは、後継者が単独で申請することができるため、遺留分放棄の制度よりは簡略化されています。
裁判所のホームページに申立書の記載例と必要書類の解説があります。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_29/index.html

しかしながら、平成27年12月末まで遺留分に関する民法特例についての利用実績は、日本全国で108例とのことで活発とはいえません(中小企業庁の発表)。
そして、そのほとんどが除外合意になっているとのことです。
なぜ、このような実績になっているかというと、以下の理由によるものと思います。
・人の生き死は予想通りいかないこともあり、先が読めないこと。
・旧代表者としても、誰にどのように経営の承継をさせるか決めかねている場合が多いこと。
・経済産業大臣の確認と家廷裁判所の許可の双方が必要となっており、手軽に作成・書き換えができる遺言と比べて手続の使い勝手があまり良くないこと。
・固定合意については、弁護士等の証明書が必要となっており、さらに手続上のハードルがあること。

この分野も随時改正がなされていますが、もう少し利用されるケースが増えてくれば、残された相続人の悩みの種も少なくなるはずです。

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2016年8月10日 水曜日

事業承継と遺留分対策について

今回のブログは事業承継と遺留分対策について記載します。

被相続人が会社を経営していた場合、会社の相続は会社の株式の相続という形でなされることになります。
被相続人が特定の相続人や第三者に会社の経営を引き継いでほしいと考えて、仮に遺言で株式を引き継がせることを記しても、相続人の遺留分を侵害する限度でその遺言が無効となる可能性があります。
その場合、株式が遺留分減殺請求の対象となって他の相続人にも分散してしまい、会社の経営が後継者の思うようにいかないケースが考えれらます。
前回のブログでも、自社株式が遺留分減殺請求の対象となり、各相続人に分散してしまうケースを見ました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/08/post-60-1322287.html

小規模事業者をふくめた中小企業は日本全国に380万社あるとされ、全企業数の99.7%を占めます(中小企業庁ホームページ)。
また、その経営者の高齢化も目立ってきており、中小企業の円滑な事業承継は喫緊の課題となっています。

このようなケースを想定した制度としては、被相続人の生前に遺留分権利者が遺留分放棄の申立家庭裁判所に行うことが考えられます。
しかし、遺留分放棄のデメリットは遺留分権利者に自発的に申立てを行ってもらう必要があり、株式以外にも財産がある場合親族関係がこじれている場合などは相続人が自ら遺留分を放棄する内容の申立をすることは期待できないでしょう。

そこで、中小企業の事業承継を円滑に進めるために、平成21年に中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律が定められました。
対象会社は、3年間継続して事業を行ってきたことが必要であり、資本金と従業員の要件があります。株式会社のみではなく、合同会社、合名会社、合資会社も含まれます
ただし、上場会社や、医療法人・社会福祉法人外国法人は対象会社に含まれません

上記の遺留分対策としてできることは下記の2つです。
まず、自社株式の価額を遺留分算定の基礎財産に参入しないことができます。これを除外合意といいます。
後継者が旧代表者の生前に株式の贈与を受けると、民法上の特別受益として遺留分算定の基礎財産に算入され、遺留分減殺の対象となります。
これを除外合意の対象とすれば、遺留分減殺請求の対象とならなくなります

次に、遺留分算定の基礎財産に算入すべき金額をあらかじめ固定することができます。これを固定合意といいます。
後継者が旧代表者の贈与により取得した株式を遺留分算定の基礎財産に算入する場合の価額相続開始時の評価額です。
例えば、贈与時に5000万円であった株式の価値が相続開始時には2億円に上昇していた場合は、上昇後の2億円が遺留分算定の基礎財産に算入されることになります。
しかし、これでは後継者が企業の業績向上に努めた結果、株価の評価が上がってしまい遺留分の負担がより大きくなるという結果になってしまいます。
そこで、株式を固定合意の対象とすれば、遺留分に算定すべき株式の価額を5000万円にすることができ、上昇分を算入しなくて済みます。

また、付随合意として上記の除外合意と固定合意とあわせて合意できる事項があります。
後継者が旧代表者から株式以外に贈与を受けた財産についても遺留分算定の基礎財産に算入しないことを合意できます。例えば、事業用に供している不動産や現金などです。
また、非後継者が旧代表者から贈与をうけて取得した財産についても遺留分算定の基礎財産に算入しないことの合意ができます。これは、非後継者と後継者の衡平を図るための措置です。

この除外合意と固定合意はいずれか一方もできますし、双方の合意を使うことも可能です。
また付随合意はこれらに組み合わせて用いるものです。

そして、手続や問題点については次回のブログで述べたいと思います。


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2016年8月 8日 月曜日

遺留分について

今回は、遺留分について解説します
よく、「遺言を書くときには遺留分に気をつけましょう」とか、「遺留分減殺請求は1年間の期間制限があります」という話をご存知の方も多いと思います。
遺留分が相続人に残された最低限の権利であるという理解は、一般の方にも浸透しているようです。

遺留分は、最低限度の相続人間の公平を確保するために兄弟姉妹及びその子以外の相続人に保障された最低限の相続の権利のことをいいます。
被相続人による財産の処分によって、遺留分を侵害された相続人は、遺留分の額以上の財産を取得した相続人に対して、財産の返還を請求することができます(民法1031条)。
これが遺留分減殺請求権です。

遺留分の額の算出方法としては、遺留分算定基礎財産の2分の1(相続人が直系尊属だけの場合は3分の1。)が、相続人全体にとっての遺留分の額です(民法1028条)。
これに個々の相続人の法定相続分を乗じることによって、個々の相続人が有する遺留分の額を算出します(民法第1044条で準用する同法第900条)。
遺留分算定の基礎財産の価額は、以下の数式で求めます。
遺留分算定基礎財産
=「被相続人が相続開始時(死亡時)に有していた財産」+「相続前1年以内の生前贈与」+「特別受益」-「負債」


遺留分減殺請求の実例具体的なケースで見てみましょう。
[事例]
相続人:配偶者、子2人長男次男
被相続人の相続開始時の財産:不動産5000万円、預金2000万円
後継者である長男に対し、死亡1年前に贈与:自社株式2億円
負債:3000万円

[遺留分算定基礎財産の価額]
不動産5000万円+預金2000万円+自社株式2億円-負債3000万円=2億4000万円

[相続人全体にとっての遺留分の額]
2億4000万円×1/2=1億2000万円

[個々の相続人の遺留分の額]
配偶者=1億2000万円×1/2=6000万円
子2人=1億2000万円×1/4=各3000万円


このケースで、被相続人が遺言で、配偶者に不動産5000万円を遺贈し、長男に預金全額2000万円を遺贈した場合を想定します。
配偶者は1000万円遺留分額6000万円-実際の相続額5000万円の遺留分侵害を受け、次男は指定された相続分がありませんから遺留分額3000万円がまるまる遺留分侵害額となります。
配偶者と次男は、それぞれ長男に対して、生前贈与された自社株式2億円と長男の遺言による相続させた預金2000万円につき遺留分減殺請求をすることができます。
まず、遺留分減殺請求は、贈与よりも先に遺贈に対して行います(民法1033条)。
その結果、配偶者と次男長男に遺贈された預金2000万円に対してそれぞれ1000万円と3000万円の減殺請求をします。
配偶者と次男の遺留分侵害額の割合は1:3ですから、配偶者は預金500万円次男は預金1500万円につき、遺留分減殺により、返還を求めることができます
次に、配偶者の残りの遺留分侵害額500万円次男の残りの遺留分侵害額1500万円自社株式2億円分に対して減殺請求します。
これにより、自社株式は配偶者と長男と次男がそれぞれ1:3:362.5%:7.5%:90%)の割合で分割して取得することになります。

このように、後継者が贈与を受けた自社株式が相続人間で分散してしまうことになります。
この問題について取るべき対策は、また項を改めて述べたいと思います。

以上のように、遺留分侵害があるケースでは、具体的な計算やどの財産に侵害請求していくのかについては、結構複雑な問題となります


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