事務所ブログ

2016年7月28日 木曜日

不在者財産管理人について

前々回のブログは、生死不明の人が戸籍上に残っている場合の手続の進め方について記載しました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/07/post-57-1315341.html
前回のブログは、「死亡」と「失踪宣告」と「認定死亡」について述べ、東日本大震災の特例措置についても触れました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/07/post-58-1316707.html

相続人行方不明者がいる場合は、生存しているものの住所が明らかでない者として「不在者財産管理人」の選任を検討します。
「失踪宣告」との違いは「失踪宣告」が死亡した者として扱うのに対し、「不在者財産管理人」は住所・居所に戻ってきていないだけでまだ生きている者として扱う点で違いがあります。
例えば、長年、行方不明になっている者があるがまだ普通失踪期間=7年が経過していない場合に、その他の相続人が取り急ぎ遺産分割を行いたい場合には不在者財産管理人を選任して、不在者財産管理人を当事者として遺産分割を行うことになります。
それでも家裁の調査に要する期間などで相続財産管理人選任まで6カ月程度の期間は見ておいた方がいいでしょう。
不在者財産管理人が遺産分割協議や調停を成立させる場合家庭裁判所の許可が必要です。

不在者財産管理人は、行方不明者が現れるまでその職務が続きます
遺産分割が終わったら職務が終わるわけではありません
しかし、行方不明者が一向に表れなければ、適宜の段階で「失踪宣告」を行うことになります。
その後、失踪宣告により不在者が死亡したものとして扱われ、不在者財産管理人の職務は終了します。
そして、失踪宣告を受けた者の相続の手続を行うことになります。
不在者財産管理人には、その請求により家庭裁判所の認める報酬が支払われることになります。


お問い合わせはこちらから
詳細につきましては、松井・森岡法律事務所まで(担当 松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126 

投稿者 松井・森岡法律事務所 | 記事URL

2016年7月21日 木曜日

東日本大震災における死亡推定について

前回のブログは、生死不明の人が戸籍上に残っている場合に相続手続をどう進めるかについて記載しました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/07/post-57-1315341.html
前回は相続開始の要件として、「死亡」と死亡したものとみなされる失踪宣告」はあるが、高齢者職権消除はこれにあたらないと述べました。

死亡」と「失踪宣告」以外にも、判例上相続開始の要件として認められているものとして「認定死亡」があります。
認定死亡というのは、戸籍法において定められている制度です。
戸籍法89条は、「水難、火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。」と定めています。
このように認定死亡はいつでも使えるものではありません
水難や火災などの客観的に死亡したものと認定できる事変があったことが要件であり、官公庁の認定が必要になります。

そうすると、遺族として不在者の死亡の事実を認めてもらい、相続の手続を行うためには、失踪宣告を考える必要があります。
しかし、失踪宣告は人の死亡が不明な場合に、死亡したとみなす制度ですから、慎重かつ厳格な手続が定められています。
失踪宣告は、普通失踪特別失踪に分かれます。
普通失踪は「不在者の生死が7年間明らかでないとき」に利害関係人が家庭裁判所に請求できます。また手続も6ヶ月の公示催告期間が必要です。
特別失踪は「戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難んい遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争がやんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないとき」に利害関係人が家庭裁判所に請求できます。この場合の公示催告期間は2ヶ月以上必要です。
以上のように失踪期間と公示催告期間があり、失踪宣告も迅速に使える制度ではありません

平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、政府は被災者の遺族の保護を図るために、津波等による行方不明者の死亡の取扱いについて特別措置を設けました
例えば、遺体が見つからなくても死亡届を受理する運用がとられています。
法務省のホームページhttp://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00026.html
また、厚生年金国民年金などの死亡に係る給付未支給保険金、遺族基礎年金、死亡一時金など)については、行方不明となった者の生死が震災後3カ月間分からない場合には死亡したものとして推定して取り扱うこととされました。
すでに震災から5年が経過し、これらの給付の請求期間の問題も生じています。
以下のホームページを参照してください
死亡一時金についてはこちら
遺族年金についてはこちら


お問い合わせはこちらから
詳細につきましては、松井・森岡法律事務所まで(担当 松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126

投稿者 松井・森岡法律事務所 | 記事URL

2016年7月15日 金曜日

戸籍の消除と失踪宣告

今回のブログは、生死不明の人が戸籍上に残っている場合に相続手続をどう進めるかについて記載します。
民法882条は「相続は、死亡によって開始する。」と定めています。
通常、被相続人の死亡除籍謄本によって確認します。
除籍謄本は被相続人の死亡後に死亡届が役所に提出されることで作成されます。

しかし、誰も生存を確認していないけれども死亡届が提出されずに、戸籍が残っている、つまり戸籍上は生きている扱いになっているケースがあります。
そういう方は生きていれば120歳とか150歳とかいう年齢になることもあったりまします。
法定相続人で第2順位の直系尊属の生存を確認する場合に、ごく稀に見かけるケースです。

そのような場合に、死亡と同じ扱いにしてもらい、戸籍を抹消するためには失踪宣告を行う必要があります。
民法30条1項は、不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪宣告をすることができるとしています。
また、民法31条は、失踪宣告を受けた者は7年の期間が満了した時に死亡したものとみなすとしています。

これに対して、高齢者の職権消除といって、一定の年齢の高齢者で死亡届が提出されていないものについて役所内で戸籍を抹消する制度があります(戸籍法44条3項、24条2項)。
しかし、これはあくまで行政庁の内部処理ですので、相続開始の要件である「死亡」や死亡とみなされる「失踪宣告」のような効果は生じません
生死不明の方について相続人でないことを公的に明らかにするためには、やはり家庭裁判所に失踪宣告の申立を行う必要があります。

平成28年7月6日付の日経新聞では、遺産相続の手続を簡易化するため、法務省が戸籍情報をまとめて証明書を発行することの検討に入ったとの報道がありました。


戸籍の取り方見方についてこれまでブログを記載しました。
 http://www.am-lawoffice.jp/blog/2014/04/1-1-824693.html
 http://www.am-lawoffice.jp/blog/2014/04/post-4-827409.html
戸籍を遡って相続人を確定する作業は結構大変で時間もかかります。ですから国でそのような証明書が発行されれば、手続の負担は相当軽減されるでしょう。
しかし、上記のようなケースでは失踪宣告を申し立てる手間は軽減されません。そして、このような嘘のような本当のケースが弁護士に持ちこまれるのです。

お問い合わせはこちらから
詳細につきましては、松井・森岡法律事務所まで(担当 松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126



投稿者 松井・森岡法律事務所 | 記事URL

2016年5月19日 木曜日

相続人の地位を争う(婚姻無効・養子縁組無効)

これまでのブログでは、相続人の範囲・地位に関して問題となる例を述べてきました。
前回は相続人の地位を争う場合として、「子」の地位を争うケースを述べました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/04/post-54-1288121.html
前々回は相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議の注意点を記載しました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/04/post-53-1287711.html

今回のブログは相続人の地位を争う場合のその2として、婚姻が無効であるとか養子縁組が無効であると考えられるケースについてどうすればよいかについて記載します。
例えば、被相続人が晩年に結婚・養子縁組する意思があるかどうかきわめて怪しい状態であるのに、婚姻届・縁組届に署名捺印がなされて役所に提出されたケースが典型です。

いずれにせよ、相続のケースでいうと、相続人とはいえ他人の婚姻や養子縁組について無効を主張できるのかという問題があります。
この点、婚姻が無効であることにつき、その利益がある限り、第三者も他人の婚姻が無効である旨の訴えを提起することができるとされています(最高裁昭和34年7月3日判決)。
養子縁組についても、自己の身分関係に関する地位に直接影響を受ける者であれば養子縁組無効の訴えを提起できます(最高裁昭和63年3月1日判決)。

したがって、相続人としては被相続人の婚姻・養子縁組無効の訴えを提起できることになります。
ただし、これはそもそも訴えることができるかどうかの入り口の話です(訴えの利益とか原告適格などの問題です)。
本案で勝つためには、実質的な婚姻意思・縁組意思がなかったとか、届出が偽造であるといった事情について積極的に主張していく必要があります。

事実は小説より奇なりといいますが、世の中には、姓を変えて借金をするために養子縁組がされたり、面識もない人との間で養子縁組がなされていたりする事例があります。このような場合は、実質的な縁組意思、すなわち「真に社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意志」がないとして縁組が無効とされることになります。
また、認知症であった被相続人が行った養子縁組が無効であるとして争われるケースも多く、判例もいくつか出ています。
遺言書の有効と無効の境界(その2)
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/03/2-1-1271023.html
こちらのブログで述べたとおり、遺言無能力を理由に遺言無効を求める場合と証拠資料は重複することが多いでしょう。しかし、遺言能力と縁組意思の内容はレベルが違いますので注意が必要です。遺言能力は財産処分に関するものであり、縁組意思は身分関係の設定に関するものですので、前者のほうが上位の水準を求められているようです(広島高裁平成25年5月9日判決、東京高裁平成25年9月18日判決等参照)。


お問い合わせはこちらから
詳細につきましては、松井・森岡法律事務所まで(担当 松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126

投稿者 松井・森岡法律事務所 | 記事URL

2016年4月25日 月曜日

相続人の地位を争う場合

前回は相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議の注意点を記載しました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/04/post-53-1287711.html

今回のブログは相続人の地位を争う場合にどうするかについて記載します。

まず、相続人であるかどうかは戸籍謄本で確認します。
相続人の地位を争うというのは、例えば、以下のケースが考えられます。
 ・相続人であると主張する子が被相続人の実の子ではない
 ・被相続人の生前の結婚が無効であるため、配偶者は相続人ではない
 ・被相続人は養子縁組をしていたが、その縁組が無効であるため、養子に相続権がない
などとして、子・配偶者・養子として戸籍上は相続権があが、その親族関係が法的には否定されるべきものであるので、その結果相続人の地位を失うことを主張したいというケースです。

まず、最初の子のケースです。
昔は、子の無い夫婦が他人の子供を実子として届け出て養育するケースなど、他人の子を実の子として虚偽の出生届を役所に提出することがありました
こういうケースを「藁の上からの養子」といいます。

戸籍上「子」となっている相続人の相続人の地位を争う場合の手段としては、親子関係不存在確認の訴えが一般的です。
これは民法上の規定はありませんが、過去の最高裁の判例において認められた訴えの類型です。
最近のDNA鑑定技術の向上によって、親子であるか否かが科学的に高度な正確性をもって判定できるようになったことから相続の場面においても利用されるようになっています。

しかし、相続が発生したあとで、それまで長年にわたって「子」として養育されてきた「相続人」が「子」であることを否定されるとによって被る精神的打撃、社会的不利益は極めて大きいものがあります。
そこで最高裁判例(最判平18.7.7)は、親子関係がDNA鑑定等により存在しないことが明白となっても、以下の事情を考慮して親子不存在確認請求が権利濫用として認められない場合があることを明言しています。
 ① 実の親子と同様の生活の実体があった期間の長さ
 ② 判決をもって実親子関係の不存在を確定することにより被告及びその関係者の受ける精神的苦痛、経済的不利益
 ③ 原告が実親子関係の不存在確認請求をするに至った経緯及び請求をする動機、目的
 ④ 実親子関係が存在しないことが確定されないとした場合に原告以外に著しい不利益を受ける者の有無
 ⑤ 諸般の事情


これまでの親子関係不存在確認請求は、上記の判断基準に従って権利濫用として認められない場合が多くありました。
しかし、名古屋高判平20.12.25のケースでは、権利濫用にはあたらないとして親子不存在確認請求を認容する判断を下しました最高裁においても上告棄却、上告受理申立は不受理として確定)。
このケースが他のケースと異なるのは、被告本人が親子関係の不存在を知っていたこと被告が戸籍上の親から生前に経済的な支援を受けていたこと戸籍上の親の遺産分割手続が未了であったこと(遺産分割を覆す必要が無く法的安定性を害さないこと)、などです。
事実認定の勝負の面もありますが、親子関係不存在確認の訴えの提起の際に参考にすべき事例といえます。

なお、昨年メディアで大きく取り上げられた喜多嶋舞と大沢樹生の間の裁判も東京家裁において争われた親子関係不存在確認請求訴訟でした。この事件では、判決により長男と父との間の親子関係が否定されました。
ただし、このケースは相続ではありません。「親子」の当事者が生存しているケースでの親子関係の存否が争われたものです。従って、上記の権利濫用の主張がなされるケースとは異なりますのでご注意ください

次回は、離婚無効・養子縁組無効などについて見てみたいと思います。


お問い合わせはこちらから
詳細につきましては、松井・森岡法律事務所まで(担当 松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126 

投稿者 松井・森岡法律事務所 | 記事URL

カレンダー

2016年7月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

初回相談・カウンセリングを行います。
「費用はどれくらいかかるの?」「期間はどのくらい?」

など、相続に関する疑問や質問にお答えしています。
もちろん、無理に依頼を勧める事はありません。

〒102-0083
東京都千代田区麹町3-4 麹町K-118ビル3階
TEL 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126

受付時間 9時~18時
定休日 土日・祝日

お問い合わせはこちら