事務所ブログ
2016年3月 3日 木曜日
遺言書の有効と無効の境界(その1)
前回のブログでは、遺言書の効力を争う方法を書きました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/02/post-48-1267235.html
今回のブログでは、具体的にどのあたりが自筆証書遺言の有効無効の分かれ目となるかを見ていきます。
仮に遺言書の効力が問題になった場合は、これらの事例を参考に分析、検討していくことになります。
1.自筆遺言証書における「自書」性
・遺言者が書いたが、他人により添え手がなされていたケース
→無効 (最高裁昭和62年10月8日判決)
・土地を特定するため遺言書に図面を添付していたケース
→有効 (札幌高裁平成14年4月26日判決)
・カーボン複写で遺言書を作成したケース
→有効 (最高裁平成5年10月19日判決)
2.自筆証書遺言における署名押印
・署名押印の押印が指印でなされたケース
→有効 (最高裁平成元年2月16日判決)
・封筒には押印があり、遺言書本体に署名はあるが押印が無い
→有効 (最高裁平成6年6月24日判決)
・封筒には署名押印があるが、遺言書本体には署名押印が無い
→無効 (東京高裁平成18年10月25日判決)
3.自筆証書遺言における「日付」
・作成日を「吉日」としたケース
→無効 (最高裁昭和54年5月31日判決)
・昭和48年を昭和28年と明らかな誤記がなされたケース
→有効 (最高裁昭和52年11月21日判決)
・バックデートによる日付
→無効 (東京高裁平成5年3月23日判決)
4.自筆遺言証書における「加除変更」
・「ユ」→「遺言」など明らかな誤記の訂正について署名捺印が無かったケース
→有効 (最高裁昭和56年12月18日判決)
・抹消部分に押印はあったが署名が無かったケース
→有効 (東京高裁昭和55年11月27日判決)
・赤いボールペンで遺言書全体に斜線を引いたケース
→遺言書を破棄したものとして無効 (最高裁平成27年11月20日判決)
上記の事例は、いずれも高裁や最高裁まで裁判が続いています。
遺言書が有効か無効で結論が大きく違いますから、それだけ争いが深刻になるということでしょう。
いずれも当該事案に対する判断なので、事実関係が微妙に違うと結論が変わりうるので注意が必要です。
また自筆証書遺言は検認が必要ですが、開封されていたかどうかでも結論に影響します。
いずれにせよ、有効性に疑義の無い遺言書をしっかり作成しておくにこしたことはないでしょう。
お問い合わせはこちらから
詳細につきましては、松井・森岡法律事務所まで(担当 松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/02/post-48-1267235.html
今回のブログでは、具体的にどのあたりが自筆証書遺言の有効無効の分かれ目となるかを見ていきます。
仮に遺言書の効力が問題になった場合は、これらの事例を参考に分析、検討していくことになります。
1.自筆遺言証書における「自書」性
・遺言者が書いたが、他人により添え手がなされていたケース
→無効 (最高裁昭和62年10月8日判決)
・土地を特定するため遺言書に図面を添付していたケース
→有効 (札幌高裁平成14年4月26日判決)
・カーボン複写で遺言書を作成したケース
→有効 (最高裁平成5年10月19日判決)
2.自筆証書遺言における署名押印
・署名押印の押印が指印でなされたケース
→有効 (最高裁平成元年2月16日判決)
・封筒には押印があり、遺言書本体に署名はあるが押印が無い
→有効 (最高裁平成6年6月24日判決)
・封筒には署名押印があるが、遺言書本体には署名押印が無い
→無効 (東京高裁平成18年10月25日判決)
3.自筆証書遺言における「日付」
・作成日を「吉日」としたケース
→無効 (最高裁昭和54年5月31日判決)
・昭和48年を昭和28年と明らかな誤記がなされたケース
→有効 (最高裁昭和52年11月21日判決)
・バックデートによる日付
→無効 (東京高裁平成5年3月23日判決)
4.自筆遺言証書における「加除変更」
・「ユ」→「遺言」など明らかな誤記の訂正について署名捺印が無かったケース
→有効 (最高裁昭和56年12月18日判決)
・抹消部分に押印はあったが署名が無かったケース
→有効 (東京高裁昭和55年11月27日判決)
・赤いボールペンで遺言書全体に斜線を引いたケース
→遺言書を破棄したものとして無効 (最高裁平成27年11月20日判決)
上記の事例は、いずれも高裁や最高裁まで裁判が続いています。
遺言書が有効か無効で結論が大きく違いますから、それだけ争いが深刻になるということでしょう。
いずれも当該事案に対する判断なので、事実関係が微妙に違うと結論が変わりうるので注意が必要です。
また自筆証書遺言は検認が必要ですが、開封されていたかどうかでも結論に影響します。
いずれにせよ、有効性に疑義の無い遺言書をしっかり作成しておくにこしたことはないでしょう。
お問い合わせはこちらから
詳細につきましては、松井・森岡法律事務所まで(担当 松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126
投稿者 松井・森岡法律事務所