事務所ブログ

2016年3月 9日 水曜日

遺言書の有効と無効の境界(その2)

前回のブログでは、遺言書の有効と無効の境界(その1)について記載しました。
http://www.am-lawoffice.jp/blog/2016/03/post-49-1268444.html

今回は、遺言書の有効と無効の限界(その2)として、遺言能力に関する紛争類型を見てみます。
遺言者は遺言をするときにおいて遺言能力を有していなければなりません民法963条)。
その他、15歳になると遺言書を作成することができます同961条)。
さらに、判断能力に関する条件として、成年被後見人については判断能力(事理弁識能力といいます)を回復した場合に限り、医師2名が立ち会い、その医師が判断能力に問題が無かったことを遺言書に記載し、署名捺印することを条件に遺言をすることができるとさだめられています同973条)。もっとも、実務では成年被後見人の方が作成し、医師が署名捺印をした遺言書を見たことはありません。

このように遺言作成時に遺言能力が備わっていること自筆証書遺言、公正証書遺言のいずれにも共通の要件です。
最近では、この遺言無能力を理由に遺言の効力が争われる例が増加しています。その多くは、認知症等の判断能力の低下により遺言の無効が争われるケースです。
これは介護保険法の導入に伴い、医療記録や介護記録など判断能力を証明する証拠資料が充実してきたことにも原因があると考えられます。

遺言無能力による遺言無効の訴えを提起する場合、遺言時における精神上の障害の内容・程度が大きな争点になります。
そこで、遺言無能力を裏付ける証拠として、具体的には以下の資料の収集を検討します。
①(医師が関与するもの) カルテ、知能テストの結果、医師の診断書、後見等申立事件の鑑定結果など
②(ケアマネ・ヘルパー・介護事業者が関与するもの) 看護記録、介護記録、介護認定調査票、サービス担当者会議議事録など
③(家族が関与するもの) 当時の日記や書類における本人の記載内容、通帳や取引履歴など財産管理状況に関する書類、室内や生活状況の写真など

これらの資料を多角的に検討分析し、遺言作成当時、精神上の障害の程度が著しいものであると主張していくのです。

厚生労働省によると、平成24年時点での認知症患者数の推計値は全国で462万人平成37年にはこれが700万人にも増加する見通しといわれています。
今後も、遺言無能力を理由として遺言無効を求める紛争は増えていくと思われます。


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投稿者 松井・森岡法律事務所

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