相続人による預金の使い込みについて

2014年9月 2日 火曜日

相続人による預金の使い込みが疑われるケース

 今回は、遺産分割に関して問題になる、相続人による預金の使い込みについて触れます。相続人による現預金の使い込み疑惑は、本当によく相談されることの多い問題です。
 例えば、ある相続人が被相続人の晩年に財産管理をしていて、他の相続人から預金の使い込みを疑われており、実際に預金の取引履歴を取得してみると、多額の金銭が引き出されていたというケースが典型です。
 それぞれの時系列と事情に応じて、請求の手段と対応を考える必要があります

1.被相続人死後の預金引き出し
 まず、被相続人死後の預金引き出しは、現実に管理していた者が引き出したことになります
 その場合、他の相続人は管理者に対して、使途を問い合わせて確認することになります。これに対して、引き出した預金が葬儀費用など合理的な用途に支払われた場合は、その分は使い込みではないことになります。
 そのような説明がなされなければ、他の相続人は管理をしていた者に対して、不当利得返還請求か不法行為に基づく損害賠償請求をすることになります。相続人が複数いる場合は、相続割合に応じて請求をすることになります。その場合、交渉から初め、それで返還されなければ、訴訟提起ということになります。
 もっとも、請求については、消滅時効がありますので注意しましょう。

2.被相続人の生前の預金引き出し
 被相続人の生前の預金引き出しは、管理者の反論の内容によっていくつかのパターンに分かれます。

  まず、預金が被相続人のために使われていた場合です。
   よくあるパターンとして、預金の使途を追及したところ、被相続人のために使ったという領収証が提出されるというケースがあります。この場合は、被相続人が管理者を通じて自己の財産を使ったということであり、使い込みにはなりません。

  次に、預金が被相続人の同意なく、管理者自身の利益のために使われた場合です。
   例えば、管理者が無断で被相続人の口座から自分の口座に移して使い込んだケースや、被相続人が認知症で同意の可否について判断できないケースもこれにあたるでしょう。この場合は、相続人は管理者に対して、不当利得返還請求不法行為に基づく損害賠償請求財産管理契約に基づく返還請求を行うことになります。
   これが典型的な使途不明金問題で、家庭裁判所の遺産分割調停でも付随問題として取り上げますが当事者間で使途などについて争いがある場合は、訴訟で決着するように言われます。この場合も請求権ですので、消滅時効に要注意です。

  さらに、その使途が被相続人の管理者に対する贈与であった、という場合です。
   この場合は、特別受益の成立を検討することになります。特別受益における生前贈与には「婚姻または養子縁組のための贈与」と「生計の資本としての贈与」があり、これらに該当する場合は、相続分の前渡しとなり、相続人がすでに取得したものとして差し引かれる処理がなされます。
   特別受益には消滅時効の問題はありません。従って、理論上は過去何年でも遡って追及することができます。

 いずれにしても重要なことは、これらの使途を裁判所で調べてもらおうと思って調停に臨んでも、裁判所は調査してくれません。他人の使い込みを疑う相続人が積極的に自ら調査して証拠固めを行う必要があります。そして、その作業は過去数年に及ぶことが多く、骨の折れる作業になります。
 また、請求の仕方についても、上記の分類に応じて有利な方法で行うことが必要です。


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投稿者 松井・森岡法律事務所

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