事務所ブログ
2014年6月11日 水曜日
遺産分割調停の進め方
前回のブログでは、葬儀費用は遺産分割調停においては「前提問題」であると述べました。一般の方には、「前提問題」といっても分かりにくいので、遺産分割調停の実務の進め方がどうなっているかについて説明したいと思います。
家庭裁判所で行われる遺産分割調停は、審理の長期化を防ぎ、効率的に争点を整理するため、以下のような点を順に確認して、調停を行うことになります。
→「相続人の確定」
→「遺言書があるか」
→「遺産範囲の確定」
→「遺産の評価」
→「法定相続分の修正」
→「具体的にどのように分割するか」
→ 調停における合意 or 審判
つまり、これらのポイントの前提となる争点(前提問題といいます)や関連はするが遺産分割に直接関係のない争点(付随問題といいます)については、調停裁判所から、別の訴訟で決着するよう促されます。そのような扱いは、実務家として迂遠(まどろっこしい)、不合理であると感じますが、その先は制度論、立法論になりますので、現実の制度を前提に説明していきます。
では、順に見ていきます。
「相続人の確定」
まず初めに、相続人が誰であるかを確定させます。
法定相続人は、通常戸籍で確認できます。被相続人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せます。
親子ではないから相続人ではないとか、結婚ないし養子縁組が無効だから相続人ではない、という主張に対しては、別途人事訴訟を起こして解決することを求められます。
「遺言書があるか」
次に、遺言書の有無についてです。
遺言がある場合にすべての遺産を遺言のとおりに分けるのであれば、遺産分割の問題にはなりません。他方、遺言書で明確に記載されていない遺産を分けるには遺産分割の手続が必要になります。
遺言の有効・無効は別途、裁判所で決めることになります。
また、受け取れる遺産の法律の定める最低保障分(遺留分)が侵害されたときには、遺産を多くもらった相続人に対し、遺留分減殺請求をすることによって最低保障分を請求することができます。これも遺産分割とは別個の手続になります。
「遺産範囲の確定」
遺言がない、または有効な遺言はあるが、遺言で相続人が指定されていない遺産が残っている場合、遺産分割の対象となる財産の範囲を確定させます。被相続人が相続開始時に有していた財産は、被相続人の一身に専属するもの(例えば、親族に対する扶養請求権など)を除いてすべて相続の対象となります。
ある財産が被相続人の所有に属するか否かにつき争いがあれば、別途訴訟で決めることになります。
預貯金等の金銭債権やその他の可分債権は、原則として、遺産分割協議を待つまでもなく、相続開始とともに当然分割され、各相続人の法定相続分に応じて帰属するため、遺産分割の対象とするには、相続人全員の合意が必要となります。ですが、実務では、遺産分割調停では、相続人から預金債権を遺産分割の対象としないという積極的な申し出がない限り、そのまま分割対象に含めて手続を進めます。
今回はここまでとし、「遺産の評価」以降については次回のブログで説明したいと思います。
相続に関するご相談は、松井・森岡法律事務所まで(担当松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126
家庭裁判所で行われる遺産分割調停は、審理の長期化を防ぎ、効率的に争点を整理するため、以下のような点を順に確認して、調停を行うことになります。
→「相続人の確定」
→「遺言書があるか」
→「遺産範囲の確定」
→「遺産の評価」
→「法定相続分の修正」
→「具体的にどのように分割するか」
→ 調停における合意 or 審判
つまり、これらのポイントの前提となる争点(前提問題といいます)や関連はするが遺産分割に直接関係のない争点(付随問題といいます)については、調停裁判所から、別の訴訟で決着するよう促されます。そのような扱いは、実務家として迂遠(まどろっこしい)、不合理であると感じますが、その先は制度論、立法論になりますので、現実の制度を前提に説明していきます。
では、順に見ていきます。
「相続人の確定」
まず初めに、相続人が誰であるかを確定させます。
法定相続人は、通常戸籍で確認できます。被相続人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せます。
親子ではないから相続人ではないとか、結婚ないし養子縁組が無効だから相続人ではない、という主張に対しては、別途人事訴訟を起こして解決することを求められます。
「遺言書があるか」
次に、遺言書の有無についてです。
遺言がある場合にすべての遺産を遺言のとおりに分けるのであれば、遺産分割の問題にはなりません。他方、遺言書で明確に記載されていない遺産を分けるには遺産分割の手続が必要になります。
遺言の有効・無効は別途、裁判所で決めることになります。
また、受け取れる遺産の法律の定める最低保障分(遺留分)が侵害されたときには、遺産を多くもらった相続人に対し、遺留分減殺請求をすることによって最低保障分を請求することができます。これも遺産分割とは別個の手続になります。
「遺産範囲の確定」
遺言がない、または有効な遺言はあるが、遺言で相続人が指定されていない遺産が残っている場合、遺産分割の対象となる財産の範囲を確定させます。被相続人が相続開始時に有していた財産は、被相続人の一身に専属するもの(例えば、親族に対する扶養請求権など)を除いてすべて相続の対象となります。
ある財産が被相続人の所有に属するか否かにつき争いがあれば、別途訴訟で決めることになります。
預貯金等の金銭債権やその他の可分債権は、原則として、遺産分割協議を待つまでもなく、相続開始とともに当然分割され、各相続人の法定相続分に応じて帰属するため、遺産分割の対象とするには、相続人全員の合意が必要となります。ですが、実務では、遺産分割調停では、相続人から預金債権を遺産分割の対象としないという積極的な申し出がない限り、そのまま分割対象に含めて手続を進めます。
今回はここまでとし、「遺産の評価」以降については次回のブログで説明したいと思います。
相続に関するご相談は、松井・森岡法律事務所まで(担当松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126
投稿者 松井・森岡法律事務所