事務所ブログ
2014年5月26日 月曜日
相続と不動産(不動産の評価)
前回のブログでは、不動産の分割方法についてお話ししました。今回は、遺産分割の実務では不動産をどう評価するのか、についてお話したいと思います。
前回、不動産をどのように分けるのかに関連して、遺産分割協議および調停での話合が合意を形成されるために行われることについても記載しました。これは、不動産の評価方法についても同様です。
通常、不動産の相対の取引では、不動産価格にはまず売出価格があり、そこから買主との間で価格交渉が始まります。売出価格は通常の宅地であれば、近隣の取引事例の坪単価を参考にすることが多いでしょう。また、公示地価や基準値標準価格があればそれを参考にする場合もあります。しかし、当該宅地が基準値から離れていて参考にならない場合には、路線価から8割で割り戻して算定することもあります。こうして、売買が成立すると、その価格は実勢価格とか時価といわれます。
これら宅地の価格の算定についての考え方は、遺産分割における不動産の評価とも似ています。
一方、宅地上の建物については、遺産分割では固定資産評価額を用いることが多いです(特に調停ではそうです)。もっとも、建物が商業ビルや賃貸用アパートやマンションなどの収益不動産の場合については、収益還元法のようなやり方で年間の賃料収入を利回りで割り戻すという方法もとられます。これについても、近隣の取引事例から参考にされることが多いです。
遺産分割の調停では、不動産の評価方法についての議論は、何を目指しているのかというと、当事者が合意できる価格です。この意味で売買が成立するときの実勢価格、時価と類似点があります。実際には、相続人間では感情的な対立も合わさって合意形成が難しくなることがありますが、上記の考え方を忘れず、冷静に対処すべきです。
不動産の評価について見てきたとおり、高く評価したいと考える相続人は、そのような高い評価を裏付ける資料(例えば、不動産会社の査定や近隣の取引事例の資料)を収集して、相手方に提出することになります。他方、評価を抑えたい相続人は、評価を抑える資料を集めることになります(例えば、近隣の取引事例や物件を保有することに伴うコストとしての公祖公課や修繕費などの資料など)。
これらの協議を経てもなお相続人間で合意できなければ、調停では、裁判所が選任する鑑定人が原価法、取引事例比較法、収益還元法やこれらの3種を組み合わせて鑑定することになります。
なお、不動産の価格もその時々の景気や政策によって、上下します。そこで、どの時点で不動産を評価するのかという点も重要になります。遺産分割の財産の評価時点は、基本的に分ける時(遺産分割時)を基準としています。ただし、特別受益や寄与分の算定については死亡時(相続開始時)が基準となっているので、注意が必要です。もっとも、この点も当事者が合意すれば、どちらかに合わせる(分割時が多いです)ということで調整が図られています。
経験の豊富な弁護士は、これらを踏まえた上で不動産の遺産分割にあたっています。
よく聞かれることで、依頼者の方が弁護士に依頼する場合には、どのような視点で選べばよいかという質問があります。以下のことを念頭に置けばほとんどハズレないと思います。
第1に弁護士との相性がよいか(コミュニケーションをとっていく上でストレスがないか)、第2に弁護士のおおまかな方針に賛同できるか、第3に弁護士の同種案件の処理の経験とノウハウが豊富であるか、を基準として選ばれればよいでしょう。
相続に関するご相談は、松井・森岡法律事務所まで(担当松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126
前回、不動産をどのように分けるのかに関連して、遺産分割協議および調停での話合が合意を形成されるために行われることについても記載しました。これは、不動産の評価方法についても同様です。
通常、不動産の相対の取引では、不動産価格にはまず売出価格があり、そこから買主との間で価格交渉が始まります。売出価格は通常の宅地であれば、近隣の取引事例の坪単価を参考にすることが多いでしょう。また、公示地価や基準値標準価格があればそれを参考にする場合もあります。しかし、当該宅地が基準値から離れていて参考にならない場合には、路線価から8割で割り戻して算定することもあります。こうして、売買が成立すると、その価格は実勢価格とか時価といわれます。
これら宅地の価格の算定についての考え方は、遺産分割における不動産の評価とも似ています。
一方、宅地上の建物については、遺産分割では固定資産評価額を用いることが多いです(特に調停ではそうです)。もっとも、建物が商業ビルや賃貸用アパートやマンションなどの収益不動産の場合については、収益還元法のようなやり方で年間の賃料収入を利回りで割り戻すという方法もとられます。これについても、近隣の取引事例から参考にされることが多いです。
遺産分割の調停では、不動産の評価方法についての議論は、何を目指しているのかというと、当事者が合意できる価格です。この意味で売買が成立するときの実勢価格、時価と類似点があります。実際には、相続人間では感情的な対立も合わさって合意形成が難しくなることがありますが、上記の考え方を忘れず、冷静に対処すべきです。
不動産の評価について見てきたとおり、高く評価したいと考える相続人は、そのような高い評価を裏付ける資料(例えば、不動産会社の査定や近隣の取引事例の資料)を収集して、相手方に提出することになります。他方、評価を抑えたい相続人は、評価を抑える資料を集めることになります(例えば、近隣の取引事例や物件を保有することに伴うコストとしての公祖公課や修繕費などの資料など)。
これらの協議を経てもなお相続人間で合意できなければ、調停では、裁判所が選任する鑑定人が原価法、取引事例比較法、収益還元法やこれらの3種を組み合わせて鑑定することになります。
なお、不動産の価格もその時々の景気や政策によって、上下します。そこで、どの時点で不動産を評価するのかという点も重要になります。遺産分割の財産の評価時点は、基本的に分ける時(遺産分割時)を基準としています。ただし、特別受益や寄与分の算定については死亡時(相続開始時)が基準となっているので、注意が必要です。もっとも、この点も当事者が合意すれば、どちらかに合わせる(分割時が多いです)ということで調整が図られています。
経験の豊富な弁護士は、これらを踏まえた上で不動産の遺産分割にあたっています。
よく聞かれることで、依頼者の方が弁護士に依頼する場合には、どのような視点で選べばよいかという質問があります。以下のことを念頭に置けばほとんどハズレないと思います。
第1に弁護士との相性がよいか(コミュニケーションをとっていく上でストレスがないか)、第2に弁護士のおおまかな方針に賛同できるか、第3に弁護士の同種案件の処理の経験とノウハウが豊富であるか、を基準として選ばれればよいでしょう。
相続に関するご相談は、松井・森岡法律事務所まで(担当松井)
電話 03-3261-7125
FAX 03-3261-7126
投稿者 松井・森岡法律事務所